第22回研修の様子

■日 時:平成14年11月23日(土)・24日の2日間
■会 場:「かでる2・7」(札幌市中央区北2条西7丁目)
■参加者:95名

今回も豊富な内容が満載の研修会でした。
心理療法の実習を中心に講師の方々が内容のレベルを落とさずに丁寧に分かりやすく説明・解説してくださるので参加者一同「目からウロコ」の研修会でした。

熱心に講義をきく参加者


研修内容は、以下のスケジュールで行なわれました。

<1日目9:00〜12:00> 「箱庭療法の基本(3)」
京都大学大学院教授 岡田 康伸 先生

箱庭療法の基本シリーズの最終回は、岡田先生が扱った事例を通して、箱庭療法の治療過程を心的エネルギーの「水路づけ」にたとえて、そのポイントを3段階に分けて説明されました。

第1段階……植物と動物が沢山置かれている作品。心的エネルギーは意識から無意識へと水路の中を流れています。
第2段階……動物や人間の闘い争い等の活動的な作品。問題(例えばコンプレックス)解決の水路づけの最中である。
第3段階……全体的にまとまりのある(統合的な)適応段階の作品。無意識から意識へと心的エネルギーが供給されて問題解決の具体的行動化がなされている。

心理検査法については京都大学ではバウムテストと風景構成法をよく使っていて、検査者とセラピストは別人物のほうがよく、セラピストの資質としては包容力―受け入れる―母性―無意識的と統合力―絞り込む―父性―意識的とのバランスが大切だと強調しておられました。

岡田康伸先生「質の高い講義をされる」


<1日目 1.12:00〜13:00 2.17:00〜18:00>「バウムテスト」
ホノルル大学客員教授 上原 シゲ子 先生

今回はバウムテストでした。実際に上原先生が扱ったクライアントに描いてもらった実例をOHPで見せていただき、テンポのよいリズムで説明してくださいました。

バウムテストは描いた人のパーソナリティが驚くほど表現されます。「一本の実のなる木」を絵にしてもらうだけですが、幹・枝・葉・樹冠・実などをよく観察すればCLのトラウマや不安、幼児性や空想性、抑うつや攻撃性などが表現されていることが分かります。

数百人のCLの中から特徴的な傾向性をもつ絵を選んでの説明は心理臨床に携わっているカウンセラーにとって貴重なお話しでした。

上原先生、今後ともご指導のほどよろしくお願い致します。

上原シゲ子先生
「膨大な事例をもとに解説される」


<1日目・14:00〜17:00>「家族描画法」
京都文教大学教授 森谷 寛之 先生

今回で家族描画法の研修としては3回目です。
前回の方法を深める形で解説して頂きました。「マルと家族」という描画法では画用紙にクライアント自身の家族をマルで表現してもらうのですが、今回は色鉛筆などで彩色する方法を教えて頂きました。コラージュ療法でも色彩心理学を導入した研究が行われていますが、家族描画法の分野でも最新の方法を披露して頂き感謝感謝です。

森谷先生が考案された「九分割統合絵画法」では、絵にこだわるのではなく、たとえば母親に対するイメージを記号や文字だけで表現する方法もあります。アートセラピーは絵が下手な人にこそ実施して欲しいという思いからだと説明しておられました。

OHPを使った事例解説では、父親イメージが「タバコ→くさい→うざったい→……怒る→優しい」となったCLに対して、全体を見つつも最後の「優しい」というプラスイメージに救いを見つける大切さを強調しておられました。そこにCLの行動変容の可能性に賭けるセラピストのセンスの良さがあるのかもしれません。

2月研修会ではコラージュ療法をご指導してくださる予定なので、皆さんも楽しみにしていてくださいね 。

森谷寛之先生
「参加者の作品を個別に観る」


<2日目9:00〜12:00> 「グループ・アプローチ」
サイコセラピスト 金城 孝次 先生

カウンセラーはまずカウンセリングを受けたほうがよいと言われています。今の日本の現状ではカウンセラーが教育分析を受ける機会が極端に少ないので、それを補うためにもグループ体験は必要不可欠といえるでしょう。もちろんその基本は自己を見つめるです。そのニーズに十分に応えてくれるのが金城先生のグループ・アプローチです。

開始してまもなくグループ内のメンバー同士に柔らかな温かいエネルギーが流れはじめます。それが目に見えるように感じられます。カルフの言う「自由で保護された空間」が会場内に誕生し、メンバーは楽しく自己表現するようになります。

さらに今回はカウンセリングの一場面の受け応えについてのプリントをロールプレイ形式で参加者に読んでもらい、その感想を述べて評価するという演習もやりました。技法にとらわれすぎることの弊害(特にロジャーズの繰り返し技法)についても具体的に説明して頂きました。

金城孝次先生
「箱庭のポイントを説明される」


<2日目13:00〜18:00> 「箱庭事例研究」
サイコセラピスト 金城 孝次 先生

スライドを使って、金城先生の扱った事例のうち2つのケースの発表をしてくださいました。プライバシーの関係があるので事例に触れることは避けますが、自然治癒力を引き出す箱庭療法の不思議さと、金城先生のセラピストとしての素晴らしさが十分に了解できた事例でした。

事例と事例との間に説明された「箱庭療法の治療理論」の解説も具体的で分かりやすく、しかもレベルの高い内容でした。箱庭を作るだけでクライアントは治るのではなく、そこにセラピストとクライアントと間に「母と子との一体性」の関係が成立していることが絶対に必要であると強調されていました。

金城先生には、箱庭研究会(平成15年度創設)のご指導も含めて、沢山のことを教えて頂く予定なので皆さんも楽しみにお待ちください。

「グループで話し合い問題意識を深める」


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