第25回研修の様子

■日 時:平成15年11月22日(土)・23日(日)の2日間
■会 場:「かでる2・7」(札幌市中央区北2条西7丁目)
■参加者:80名

今回の内容は
・グループ・アプローチ&箱庭療法の事例研究
・コラージュ療法
・箱庭療法の公開教育分析
・バウムテストでした。

各々の分野で高名な専門家の先生方が高いレベルの内容をわかりやすく説明され、しかも先生方が皆独自の世界をお持ちなので、参加者はその世界に引き込まれているようでした。心理療法の奥の深さを改めて実感した二日間でした。


研修内容は、以下のスケジュールで行なわれました。
※なお事例研究ではプライバシーの関係上氏名は伏せています。

<1日目9:00〜12:00> 「グループアプローチ」
サイコ・オフィス代表 金城 孝次 先生

グループ・アプローチとは、言葉を介した相互作用の場でグループ内での関係の発展と変化を支持・援助するプロセスである、というショートレクチャーの終了後に実習が始まりました。

参加者の中から10余名の人が一つのグループを構成し、他の参加者の前で「悩み」というテーマについて話し合いました。

「今、ここ」を大切にした、いわゆる「出たとこ勝負」のグループ体験はメンバーやそれを見守る参加者にとってとても有意義でした。

グループ内の心的プロセスについて金城先生のコメントでは、「グループの力動性を生み出すような発言が飛び交うような場面があってもよかったのでは」などの指摘があり、普通の会議とグループ・アプローチとの違いがよく理解できたと思います。

金城先生


<1日目13:00〜16:00>「コラージュ療法」
京都文教大学教授 森谷 寛之 先生

コラージュ療法の第一人者森谷先生の講義、実習、事例研究の三本立ての内容でした。

コラージュ療法の歴史から今日の状況についての説明が終了した後に実習に入りました。

今回はB4判の画用紙を2枚使って、コラージュ・ボックス方式とマガジン・ピクチャー・コラージュ方式の2つの技法を体験しました。

二人一組でやるコラージュボックス方式は写真の切り抜きを相手が選んで渡してくれるので、一人でやったときには貼らないような写真でも抵抗なく貼れるという長所があります。そのことで今までと違う自分を表現できるので心がすっきりしたという感想が多く、コラージュ療法の心理療法としての効能を実感しました。



森谷先生


<1日目16:00〜18:40>「箱庭療法の公開教育分析」
椙山女学園大学教授 西村 洲衞男 先生

今回は二人の参加者の方に協力してもらい、各自が過去に制作した箱庭作品の写真をスライド化し、その作品を見ながら西村先生にコメントして頂くという方法をとりました。

参加者にとって、公開性とはいえ教育分析的な内容を直接聴講できたことは貴重な体験だったと思います。特に箱庭作品の系列的な読み方(箱庭の解釈)について深い理解が得られたと思います。

印象的だったのは40歳を越えたときの「スピリチュアルな結婚」についてでした。フィジカルではなくスピリチュアルな男女間の結びつきは、内なる男性原理と女性原理との結合のテーマへとつながり、さらにワイルドなものを聖なるものへと昇華していくプロセスと重なり合うものがあるのかもしれません。

西村先生


<2日目9:00〜12:00> 「バウム・テスト」
ホノルル大学客員教授 上原 シゲ子 先生

定例研修会ではお馴染みの上原先生のバウムテストは事例が豊富に出てきます。

最初はバウムの解釈について「幹は自我、枝は自我機能、葉は対人関係の接触面」等の説明をされ、その後にOHPでたくさんの事例を詳しく紹介してくださいました。

最後に参加者に「実のなる木」を描いてもらい、それを先生が個別に解釈されました。今まで気づかなかった自分の心癖、コンプレックスなどの了解が得られたことと思います。


<2日目13:00〜17:30> 「箱庭療法の事例研究」
サイコ・オフィス代表 金城 孝次 先生

今回の事例研究は今までのまとめの意味を込めて、二つのアプローチから同じ事例を検討しました。

一つはセラピー場面での作品の味わい方(見方)、もう一つは臨床家の事例研究場面での作品の読み方(解釈方法)です。

この二つを区別して考えないと箱庭の本質がわからなくなり、Clをも傷つけてしまうことになる、という説明から始まり、その後に詳しい事例紹介をしてくださいました。

不登校の中学生の事例では、その第1回目の箱庭作品にギリシャ神話のケルベレス、ミノタウロス、グリフォンなどが登場し、その後の立ち直りを力強く暗示していました。内的世界と外的世界・女性原理と男性原理の融合のテーマが現れ、その後に世界軸を取り戻して自分の位置付けを確かにする再生のテーマが出現し、はらはらドキドキの箱庭作品の連続でした。

音声チックの事例では、戦いのテーマから箱庭作品が始まり、その後内面の心の整理を象徴するかのように工事現場を頻繁に表現していました。霊魂を導くワニが登場し、最後にカイロスの介入の象徴として隕石が出現してチックが全快した課程を詳細に説明して頂きました。

今回の事例研究で、Clの内面表現の本質をきちんと受けとめるとはどういうことか、そして豊かに味わう「セラピー・センス」とは何かが参加者によく理解できたのではないかと思います。

金城先生


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