第26回研修の様子

■日 時:平成16年2月28日(土)・29日(日)の2日間
■会 場:「かでる2・7」(札幌市中央区北2条西7丁目)
■参加者:85名

今回の内容は……
1. 表現療法(MSSM+C法・小説療法・連句療法)
2. 箱庭療法
3. 遊戯療法
でした。

上記の心理療法の講義、とくに事例研究が充実していたので心理療法のエッセンスを 十分に味わった2日間でした。

研修内容は以下のスケジュールで行なわれました。
今回は参加者の感想をもとにして内容のご紹介をしたいと思います。


研修内容は、以下のスケジュールで行なわれました。
※なお事例研究ではプライバシーの関係上氏名は伏せています。

<1日目9:00〜12:00> 「箱庭療法の基礎と事例研究」
京都大学大学院教授 岡田 康伸 先生

箱庭の作品は自我の発達段階にしたがって植物・動物段階→闘争の段階→統合の段階へと「らせん」的に移行するというお話から講義が始まりました。

従来は箱庭作品を解釈しないことが基本になっていましたが、今後はさまざまな点を考慮しながらセラピストが解釈能力をつけることが大切になるだろうとお話しされました。生徒の感想をご紹介します。

場面緘黙の女子(6歳)の事例研究では、「自由にして保護された空間」の中でクライアントは、血・ミルク・うんこという生命の根源を象徴するものを作って混ぜ合わせる作業を繰り返し、とうとうそれは食べ物に分化していきます。その過程はクライアントの母子一体化した自我が徐々に母子分離していく過程と重なり合うようで興味深いものがありました。

岡田先生


<1日目13:00〜18:00>「箱庭療法の事例研究」
サイコオフィス代表 金城 孝次 先生

場面緘黙と自閉傾向児の二事例を通し、子供自身と周りの状況、先生への対応の経緯を実に詳細に説明されました。二人の方の感想をご紹介したいと思います。

箱庭を見るときは、何かを象徴的、集約的に表現している「これ!」というものを感じ取ることが大事であり、それを言葉としてフィードバックする必要はなく、クライ
アントが自発的に話してくれるのを待つことが大切だということも学びました。

事例研究で考えさせられたのは現場で様々なケースに臨む際のカウンセラーの在り方でした。その場の状況に振り回されることなく、常に冷静な精神力を維持して、次回にまた他のケースに対応するには自分自身に戻るための心の切り換えが不可欠だということです。立ち戻る自分の人生を持つということ、共感性や無構えは勿論のこと、何より人好きであれというカウンセラーに要求される条件の意味が現実味を持って感じられました。



金城先生


<2日目9:00〜12:00>「遊戯療法の基礎と事例研究」
明治大学教授 弘中 正美 先生

センダック作「かいじゅうたちのいるところ」という絵本のスライド上映から講義が始まり、参加者がリラックスしたところで事例研究に入りました。参加者の感想を紹
介します。

水の中での遊びから陸地ができ、さらに基地ができてくるという遊びが面接場面で展開されました。その子の混沌として不安定な自我状態が安定性を持ちはじめ、さらに自我領域が確立するという心の成長と重なり合っています。子どもは遊びの中で、その子の持っている課題を展開させるとともに遊びを通して心の作業をしていることがよくわかした。
 
子供にとっての遊びの重要性と意味を知り尽くした弘中先生が、子供を見守りつつ、ご自身もワクワクした心持で子供と向き合う姿が想像され、とても楽しく聴講しました。子供の遊びを単なる遊びとみるのではなく、遊びの中の一つ一つの行動を心の表現として意味あるものとして見つめる大切さを学びました。子供の遊びの世界がこんなにも深いものであることに初めて気づきました。

弘中先生


<2日目13:00〜17:30> 「箱庭療法の事例研究」
京都大学大学院教授 山中 康裕 先生

MSSM+C法の説明をされ、次に『表現療法』(ミネルヴァ書房)を使って小説療法と連句療法について講義されました。アカペラで「すべての人の心に花を」や韓国語の歌も披露してくださいました。表現療法を体現した山中先生ならではの内容でした。生徒の感想をご紹介します。

表現療法はクライエントの心の中に詰まっている、悲しみや怒り、妬み、恨みなどを吐き出す作業であり、そのためには治療者が自由にして保護された空間を保障し、一緒にいて見守り、そこにどんな感情があるのかを汲むことが大切であると学びました。また安易に解釈してわかった気持ちになるのではなく、あくまでもクライエントの心の作業に寄り添う姿勢が大事で、それには根気と忍耐がいるということが実感できました。箱庭療法の創始者であるカルフ女史との親交も深く、女史から直接指導を受けられた山中先生の講義をお聴きすることができ、大変に光栄であるとつくづく感じた一日でした。

カルフ女史との親交談を混じえながら、女史が箱庭療法へ至った経緯をお話され、とても興味深く聞き入りました。表現療法は箱庭の他に多岐に渡りますが、その中で「小説療法」の事例では、小説表現を通した患者の心の変遷と治療過程を学びました。どのケースにおいても、クライアントの表現過程を見守り、共に味わい、感情を汲みとる姿勢を貫かれ、クライアントの同伴者としての関係性を形成してきたことが大きな学びになりました。

山中先生



研修の開催についてへ戻る